6人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝の五百旗頭家。
「世の中の子どもは、もうすぐ夏休みなんだな」
朝のニュース番組を眺めながら、俺は食器を流しへ運んだ。フミさんは、庭先に洗濯物を干し終えて縁側に上がってきたところ。今日はシーツを洗ってくれていた。
「誠一郎さん、夏は忙しそうでした。『夏休み』って誰が休みなんだろうと思っていたのですが、子どもが休みなんですね」
確かに親父は学生が夏休みの期間も、いつもどおり通勤してたっけ。
「土曜日に遊びに来てた まこと君がさ、夏休みの宿題見て欲しいって言ってて、なんだか懐かしくなっちゃってさ、『いいよ』って二つ返事返しちゃったよ」
バターやマヨネーズを冷蔵庫に仕舞いながら、在庫を確認する。
「休みなのに宿題があるんですか?」
キョトンとした顔のフミさん。
「うーん。休みだからこそ、普段は無いタイプの宿題があるんだよ。……フミさん、お豆腐と長ネギ買っておいてくれる?」
「解りました。それだけでいいですか?」
「うん。コーヒーのストックはあるし……」
フミさんは食べないから、一食分何とかなれば大丈夫。
「今夜は、アジの開きを焼くから、ご飯炊いといてくれれば良いや」
「はい」
フミさんはにっこり笑って頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!