6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいまぁ!」
ぼくは坂の下でさとると別れると、フミさんちのインターフォンを鳴らした。
「はーい。おかえりなさい」
フミさんの声がして門扉の奥の扉が開き、フミさんが顔をだした。
「今日は一段と暑いですね。冷たい麦茶がいいですか? それとも、冷えたスイカ?」
「スイカあるの? スイカがいい!」
ぼくはフミさんが開けてくれた門扉をすり抜けるようにくぐった。
「荷物がたくさんですね。ちょっと持ちましょうね」
鍵盤ハーモニカをボクの手から受け取ったフミさんの指は、ひやりと冷たかった。そういえば、フミさんが汗かいてるの、見たことないなぁ……。
「明日から夏休みなんでしょう?」
「うん。でも、朝から校内学童行くからいつもどおりみたいなもんだよ。プールの授業もあるし」
「そうなんですねー」
なぜだかフミさん、がっかりした顔してる。
「学校がお休みって聞いたので、土曜日みたいに朝から まこと君が遊びに来てくれるのかと思ってました」
最初のコメントを投稿しよう!