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土曜日の朝、母ちゃんと一緒にフミさんと樹兄ちゃんの家に行った。今日は母ちゃんが仕事の日なので、一日フミさんちにいることになるんだ。
「すみません。お休みの所、いつもいつもお世話になってしまって」
母ちゃんは頭を下げて、駅前の洋菓子屋さんの詰め合わせを樹兄ちゃんに渡した。
「いえいえ。まこと君が来るのを楽しみにしてるくらいなので、お気になさらず」
顔の前で手を振りながら、樹兄ちゃんもペコペコ頭を下げる。オトナって面白いなぁ。その後ろでフミさんがにっこり笑って立っていた。
「今夜、神社の境内で花火をするんですって? まこと君から聞きました」
「ええ。そうらしいですね。諏訪さんって方に電話をしたら一人500円で、保護者同伴でご参加くださいってことでした。開始時間には帰ってこられそうなんですが、一旦家に帰ったら遅くなってしまいそうで……」
申し訳なさそうにしている母ちゃんに、樹兄ちゃんが言った。
「わかりました。家で夕飯食べてから神社に連れて行ってあげればいいんですね」
「ああ、夕食は家で準備してあります」
「大丈夫です。俺、作りますよ。まこと君、一緒に食べてから行こうな」
「うん!」
ぼくが元気よく答えると、ああ、すみません、とまた母ちゃんは頭を下げた。
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