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インタビューを終えて、メンバーと別れると、俺はライブハウスを出る。外は相変わらず寒くて、ダウンジャケットのポケットに、思わず両手を突っ込む。
……あの日も、今日みたいに冷えた日だったな。
確かに、俺の人生は、ハルによって大きく狂わされたかもしれない。だが、同時にハルが、俺を救ってくれたのもまた事実だ。ハルがいなければ、きっと俺は今みたいに、自分の好きなことをがむしゃらに頑張って生きる人生などおくれていなかった。音楽を好きになれて良かったって、今は心の底から思える。だから本当は、俺はあの時、恨みの言葉なんかじゃなく、感謝を伝えるべきだったんだ。
あいつも今きっと、この世界のどこかで頑張ってる。
だったら、いつか会おう。また一緒に、形は違えど音楽をやろう。そして謝らせてくれ。礼を言わせてくれ。そうしたらまた、昔みたいに一緒に語り合おう。今度は気兼ねなく、お互いに真っ直ぐの気持ちをぶつけてさ。
俺は、イヤホンを両耳にはめると、冷えきった冬の東京の街を、一人歩いていくのだった。
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