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しかも、敬語で?!
もしかして、人目があるから気を使ってくれてるのか…。
敬語はともかく、「佑翔さん」って…うん、良いな!
たまには今みたいな呼び方で呼んでもらおうかな。
「聞いてますか?」
「あ、あぁ!もちろん聞いてたよ」
ナギちゃんが眉を下げて不安そうに見つめていた。
いけないいけない、今だけは普段よりも真面目にしていないと。
今日で決着を決めないと、ならないんだからな。
「良かった」
「あら、霧生様っ!」
ナギちゃんの声と同時に甲高い声が聞こえて、前を見ると彼女がにこやかな笑顔で向かって来た。
隣には、父親である会長を連れて…。
早速、見つかったか。
「やあ、霧生くん。久しいな。元気にしていたかね?」
「お久しぶりです、会長。私は変わらずです。会長も元気そうで何よりです」
「北条さん、こんにちは。この間は、どうも…」
ビジネススマイルで2人に挨拶して、僕はナギちゃんの背中に優しく手を添えた。
2人も直ぐに、ナギちゃんに気づいたみたいで北条さんは一瞬、顔が曇り険しくさせたけど、直ぐにニコリと笑う。
僕は、見逃してないからな。その嫌そうなキミの態度。
会長は不思議そうにナギちゃんを見つめて口を開いた。
「君の隣に居る女性は…?」
「彼女は私の婚約者です。会長にもお会いさせたくて、一緒に連れてきました」
婚約者と聞いて、北条さんはナギちゃんを敵意に向けるように見たのを僕は見落とさなかった。
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