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「ありゃ〜、桜良ちゃん、
ゼンってやつに取られちゃったね。
ってあの男は誰?」
「知るかっ」
そんなもの俺が教えて欲しいくらいだ。
もしかして早くも男が出来たとか..?
いや、でも友達だと言ってたよな...
結婚式には女の友達しか見ていないし..
「どうする?
桜良ちゃん連れて行かれちゃったし、
肉にする?それともお寿司?」
呑気に聞いてくる黒木は
すでに食べ物へと脳がシフトされている。
しかし、竜海の頭のなかは
今だに先程見た光景から
切り替えられないでいた。
あの男は、
どれほど桜良と親しい間柄なのか?
先程からずっとその疑問ばかりが
脳内をグルグルと駆け巡っている。
あの男が桜良に触れた瞬間、
全身の毛が逆立つほどの嫌悪感が
湧き上がった。
そして桜良が別の男と二人で、
食事に行ったという事実に苦しいほど
胸が締め付けられた。
「やっぱり、お寿司かなぁ。
回ってないやつ」
俺が怒りと不安に
心が揺さぶられている間も
黒木は呑気に何を食べるか考えていた。
しかも俺に奢らすつもりでわざわざ
高いものを選んでいる。
しかし、俺の中では何処に食べに行くかなんて一択だった。
「パスタ. . .」
「えっ?」
「パスタだっ」
「ハハッ、了解!!
そりゃあ、気になるよねぇ」
すぐに察した黒木は事務所に残って
お弁当を食べている佐野に
二人が行ったと思われる
新しくできたパスタ屋は何処にあるのか
聞きに行った。
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