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「あっ、じゃあ、このイベント情報を
メールで送っとくね」
男がそう言ってスマートフォンを操作しだした。
桜良も「うん。ありがとう」とバックからスマートフォンを取り出そうとしている。
すると俺の脳裏に“いやだ”の3文字がよぎった。
そして気づいたの時には男の持つスマートフォンをガシッと掴んでいた。
その行為に男も桜良もギョッと驚いた表情で俺を見上げた。
俺も無意識で掴んでしまったから、この後どうするかなんて全く考えていなかった。
数十秒間、気まずい沈黙が流れた後、
「俺もそのイベント興味あるんだけど」
俺の口からは苦しいデマカセが飛び出していた。
「えっ?そうなんですか. . .」
さすがの男もいきなり見知らぬ相手に
スマートフォンを掴まれ戸惑っている。
引くに引けなくなった俺は「あぁ」と
小さく呟いた。
俺は今、桜良がどんな視線を向けているのか怖くて桜良の方に顔を向けないでいた。
「じゃあ、竜海も日曜日に一緒に参加させてもらったら?」
黒木が助け舟をだすと桜良が「えっ?!」と
と驚きの声を漏らした。
「あの、、じゃあ良かったら
ご一緒しますか?」
男は戸惑いながらも
探るように俺に尋ねてきた。
「あぁ。よろしく頼む。」
独占欲丸出しで恥ずかしいが、桜良が男と二人でデートだなんてもっと嫌だった。
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