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「では、僕の連絡先を教えておきますね」
男はスマートフォンを操作し始めた。
「いや、大丈夫だ。桜良から教えてもらうから」
俺は桜良にようやく目を向けると
桜良は「あっ、はい.. .」と頷いた。
これで断られたらどうしようと思っていたが桜良の答えにホッと息をつく。
「桜良って. . . .
桜良ちゃんとどういった関係ですか?」
男は俺が桜良のことを呼び捨てにしたのを聞いて桜良と俺を交互に見やっている。
「桜良ちゃんは彼の元奥さんだよ♪」
黒木がニコリと微笑ながら口を挟んだ。
「ええっ?!」
男は飛び上がりそうな勢いで驚きの声を上げた。
「元だから今は赤の他人だけどね♪♪」
黒木は笑顔で余計な一言を放つ。
「あっそうか。そうですよね...
もう他人ですものね。」
ホッと息を付きながら、
無意識にジャブをかましてくる男に
俺はギョッと目を見開く。
普通、この状況なら色々と察して遠慮するんじゃないのか?
俺の心の声を読み取った黒木が
「残念。相手も引くつもりはないようだね」
とコソッと呟いた。
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