第3話

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黒木は「ん〜〜」と少し考えてから  「分からん!!」ときっぱり答えた。 「なんだよそれ?役に立たねえ男だな」   俺が呆れたように椅子に深く寄りかかると、黒木はムッと顔をしかめた。 「女心は難しいんだよ! ことわざにも“女心と秋の空”ってあるだろ?うちの奥さんだってこの間まではアイドルにキャーキャーうつつ抜かしてたと思ったら、今は別のイケメン俳優に心変わりだぜ?」 それを聞いてさらに不安に襲われる。 「じゃあ、どうすればいいんだよ?」 真っ青に青褪めた俺を見て黒木は 身を乗り出して口を開いた。 「それはもう一度、桜良ちゃんに好きになってもらうしかない。 お前は桜良ちゃんと出会ったばかりのゼロからのスタートだと思え。いや、嫌われてるとしたらマイナスからのスタートだ。そこから、もう一度自分に恋をしてもらうしかない」 黒木は断言した。 「マイナスからのスタートかぁ..」 黒木の言葉に弱々しく呟く。 「モタモタしてるとあの禅ってやつに桜良さん、取られるぞ? それでもいいのか?」 黒木は発破をかけるように 問い掛けてきた。 「よくねえよ!!」 間髪入れずに答えた俺に 黒木はフッと笑みを零した。 「まあ、頑張ってくれたまえ。 相談料としてパフェ追加で頼むね」 そしてメニュー表を再び開くと 「すみませ〜ん」と ウキウキした様子で 店員さんを呼びつけている。 俺は呆れたように息を吐くと 外の景色を眺めながら、 心の中で桜良の面影を探していた。
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