第3話

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「そのミルクティー、コンビニで買ったから飲んで。桜良はミルクティー好きだったろ?」 竜海さんは運転しながら、ダッシュボード辺りに向けて顎をシャクってみせた。 見るとドリンクフォルダーに竜海さんの分のコーヒーの缶と私に買ったであろうミルクティーのペットボトルがセットしてあった。 私がミルクティー好きなこと覚えててくれたのだとそれだけで嬉しくて涙が出そうになる。 「ありがとうございます。いただきます。」 お礼を言うと竜海さんは「うん」と 少し照れくさそうに頷いた。 「最近、喘息は大丈夫か?」 「はい。秋に入ってもまだ発作は一度もないですし。」 「それなら安心した」 竜海はホッとしたように呟いた。 別れても自分の体を心配してくれる竜海さんに 私は触れたくなる衝動を必死に抑える。 本当は前みたいに“ありがとう”って ギュッて抱きつきたい。 でもそんなことをしたらきっと竜海さんは困るだろう。 「竜海さんはちゃんと朝ご飯食べてますか? 」 「えっ?...あぁ」 竜海さんの曖昧な返答に私はジトーっとした 眼差しを向けた。 竜海さんはチラッとこちらに目をやると 「すまない。今朝もコーヒーだけだ」 観念したように白状した。 私はやっぱりと言うようにため息を吐いた。
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