第3話

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「あっ、そうだ。 私、お礼を言うのを忘れてました」 「えっ?何かお礼言われることしたっけな?」 「会社を紹介してもらったことです」 「ああ、そのこと。 別に大したことじゃないよ。」 「いえ。とても良い会社を紹介してもらって ありがとうございました」 笑顔でお礼を言う私に 竜海さんも安心したように 笑みをこぼした。 「もし黒木に虐められたら言ってくれ。」 「フフッ大丈夫です。黒木さんも社長とは思えないくらい話しやすいです」 「アイツはただ適当なだけだよ」 竜海さんは苦笑いしながら言った。 すると、私のバックの中のスマートフォンが震えた。 私はスマートフォンを取り出すと 届いたメールを開いた。 「あっ、禅ちゃんからだ。 今、禅ちゃんも家を出たみたいです。 楽しみであまり眠れなかったみたい。 フフッ。禅ちゃん、相変わらずね..」 そう言いながら私は 禅ちゃんのメールに思わず頬を緩ませた。 「そう...」 竜海さんは一言だけ呟くと 急に不機嫌そうに口を閉じた。 車内に先程までの和やかな空気とは一変、 ピリついた空気が流れる。 あれっ? 私なんか気に触ることを言ったかな? 私は急に黙り込んでしまった竜海さんに なんと話し掛ければよいか分からず ただ黙ってチラチラと竜海さんの顔色をうかがう。
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