5時からヒロイン

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新入社員だった私は「何があるか分からない世の中なんだから、ちゃんと仕事は出来ないとだめ」とがむしゃらに仕事を覚えていた時に、教育係をしていた先輩が口癖のように、私に言った言葉だった。 そんな職場で仕事をしているせいなのか、仕事が異常に出来るように見えてしまったのが失敗だった。 秘書が合コンに参加すると言えば、ちやほやされること間違いなしなのだが、何せ私は170cmの身長に加え、8センチのヒールを武器に闊歩していたために、見た目がめちゃくちゃ可愛げのない女に出来上がっていた。大きな女には興味がないのか、話題も振って来ない有様だった。 そんなことばかりが続くので、すっかり合コンも参加しなくなり、恋愛の仕方まで忘れてしまいそうだと、怖くて仕方がない。 「ハイヒールを履いてくるなと何度も言ってるのに」 合コンの声かけをしてくれる友人は毎回そう言うのだが、仕事終わりで参加すると、必然とハイヒールになってしまうのだ。それに私がローヒールを履くと、背が高い女と思われたくないんだなと思われているようで、履く勇気もない。 秘書課の中でまじめに仕事をしていただけで、好きで社長秘書になったわけじゃない。玉の輿を狙っているだけの秘書課の中では、それが目立ってしまったのか社長である五代真弥から、社長秘書を命ぜられてしまった。なんと入社2年目のことだった。 「今日も、かっこよかった……」
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