ここはどこ?

2/3
89人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
わたし、遠峯 心(ここ)は、人呼んで、『不幸を引き寄せ体質』 隣の家の幼馴染みにも笑われるくらいに、トラブルに巻き込まれている。 階段で落ちそうになったおばあちゃんを助けたら、わたしが落ちた。 車に跳ねられそうになった子猫を助けた時には、わたしが側溝に転がった。 バスケをしていたら、隣のコートから球が飛んできて、顔にボールと球が激突して気絶。 土手を歩けば野良犬に追いかけられ、雨が降ると車に泥水を掛けられる。 そんなわたしは、学校帰りに、 近所のガキんちょたちが作った落とし穴に落ちた。 埋まっても膝までしかない小さな落とし穴なはずなのに、体はズブズブと落とし穴の中に沈んでく。 「えっ!ちょ、どういうこと!?」 ガキんちょたちは、わたしに怒られるのをわかってたからその場からみんな逃げ出してく。 「やだっ!なんで埋まってくの!?」 膝が埋まって、もう片足は腿の付け根まで飲み込まれてる。 蟻地獄に落ちたアリみたいに体が埋まってく。 「うそ!だ、誰か、助けて!!」 もう胸まで引き込まれて抜け出せない。 このまま埋まってく。 顔を出してるのがやっと。 「誰か!お願い!!」 不幸を引き寄せる体質なんて本当はなくて、ただの偶然に決まってるなんて思ってたのに、これじゃ本当に不幸を引き寄せるわたし。 「やっ……!!」 蟻地獄に引き込まれ、わたしはとうとう真っ暗な土の中に落ちてしまった。 記憶があったのはここまでだった───
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!