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「本当に怪我がないか、念の為に目視させてもらうよ」
そう、花戸に服を脱がされ、ベッドの上に転がされる。
足には相変わらず手錠がかけられており、短いその鎖ではまともに足を開くこともできない。下着だけを身に着けたような形で履いていたスラックスを膝の辺りまでずり下げられ、花戸はそのまま俺の太腿や腰を目で、手で、執拗に確認していくのだ。
痣になるほどの痛みでもない。触れられたところでこそばゆいだけだ。
人目見ればわかるはずなのに、それでも行為を中断させることなく花戸は太腿から腰のライン、そして剥き出しになっていた腹部に触れるのだ。
上半身、なにも身に着けていないそこを撫でられるだけでびくりと身体が反応してしまう。
いつ殴られるかもわからない、無防備な状態で花戸の下にいること自体が拷問のようだ。
「……痛みは?」
「……ない」
「他に、落ちたときに打ったところは?」
「お……ぼえてない」
「そうか。……ここ、赤くなってるね」
言いながら、俺の身体をひっくり返すように掴んでいた花戸の手がそのまま臀部に伸びる。そのまま下着をずり下げられ、尻の肉を鷲掴みにするように柔らかく撫でる花戸。
「っ、は、……ん……ッ」
「痛い?」
「い、や……」
「本当に?」
先程よりも強い力で食い込む指に、そのまま尻の谷間をぐに、と押し広げられ、冷や汗が滲んだ。
どこでスイッチが入ったのかは知らないが、こいつは最初からそのつもりだったのだろう。この間の痕跡が残ってる下半身を集中的に弄くられ、呼吸は浅くなる。
今までとは違い、手が自由になった今、咄嗟に俺は後ろ向きに花戸の腕を掴んで止めようとした。
どうやらそれが花戸の気に障ったらしい。
「……どうしたの? 間人君」
「っ、も……大丈夫、だから……ぁ……ッ」
「嘘吐き。ここはまだ腫れが残っているじゃないか。ついでに薬も塗っておこうか」
「っ、ぃ、らな……い゛ッ!」
いらない、と言い終わるよりも先に、そのまま柔らかく押し広げられた尻穴に指を突き立てられ、堪らず喉の奥が震えた。
「っ、う゛、ぁ……ッ」
「駄目だろ? お兄ちゃんに我儘言ったら。……ほら、そのまま少し待ってて」
片手で人の肛門をぬちぬちと解しながら、花戸はベッド横のサイドボードからなにかをごそごそと取り出していた。それもすぐ、指が引き抜かれたと思えばその余韻に浸る暇もなく、代わりにぬるりとしたクリームを肛門に塗りたくられる。
「……っ、ふ、ぅ……っ」
「これを塗ればこの裂傷も熱も少しは落ち着くはずだよ。……体内で溶けるまでは違和感はあるだろうけど、直に気持ちよくなってくるはずだ」
「……っ、ぅ、……ッ」
花戸の言う通り、やつの指に絡められていたクリームは腸壁に塗り込まれる側から熱に溶けていくようだ。けれど、肝心の熱と疼きは俺の中で膨れ上がっているようだった。
ぬちぬちと音を立て、花戸は丹念に薬を塗り込むのだ。地獄のような時間だった。
やつの長い指は前立腺から奥まで、際際まで何度も指を抜いて薬を足して執拗に手当をするのだ。
その間、直接快楽に繋がるような愛撫すらされることはなかったものの、ただでさえ傷付いた性感帯を触れられたお陰で下着の中で縮こまっていた性器はいつの間にかに滲んだ先走りで濡れていた。
花戸は気付いているのか、気付いていて知らないふりをしているのか、わざとなのか。俺にはもう分からない、けれど、少しでも肛門にもの寂しさのような感覚が込み上げてくるのが不快で、快感を誤魔化すように俺は自分の唇を噛んで痛みで誤魔化した。
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