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 花戸の手当はあっさりと終わった。  勃起しているのがバレたくなくて、俺はぎゅっと腿を閉じてただ最後まで堪えていた。  花戸はそんな俺に気付いていたのかどうか知らないが、ぬぷんと薬で濡れた指を引き抜いた花戸は俺に下着を履かせるのだ。  そこで、前が引っかかってるのに気付いたのだろう。軽く性器を握られ、ハッと息を飲むのも束の間。花戸はそのまま義務的に俺の性器を扱き射精させた。  一分も経たずして射精させられたことも屈辱だったが、花戸はなにを言うわけでもなくただ淡々と精液を拭い、性器を綺麗に拭き取っていく。そして何事もなかったように下着を履かせた。  本来ならばなにもおかしなことではない。  寧ろ、こうあるべきなのだ。  わかっていたが、勃起しているとバレたらどんな目に遭わされるのかと想像しては気張っていた俺にとって、あまりにもあっさりとした花戸の対応はただ戸惑った。 「それじゃあ、また一人にさせてしまうけど……ごめんね。大人しくしておくんだよ」  念の為、と言って花戸は再び俺の手も拘束し、ベッドから動けないように拘束具をつなげた。  そのまま部屋を出ていく花戸。  ただ一人俺は取り残されることになった。  本来ならばホッとするべきなのだ、あの男がいなくなって。  それなのに、少しでも動けばぬるりと粘膜同士が擦れて肛門の奥が火照ったように疼き出す。  塗布された薬に妙な成分でも入っていたのかもしれない。射精させられたばかりにも関わらず、むずむずともの寂しさを覚える性器に妙な気分になっていた。  これもそれも、全てあの男のせいだ。  今までだったらこんな感覚になることもなかった。  ……寝よう。  このまま起きていても気がおかしくなる。  そう判断した俺は、ベッドの上に丸くなった。
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