中年ヒーローごっこ

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「違う。そうじゃないんだ」 俺はここまで来て、やっと悟った。 俺のこの気持ちはただの執着で、ただの意地だ。 でも、夢であることにも変わりはないんだ。 「この齢まで何も無くて来ちまったからこそ、夢が必要なんじゃねぇか!」 そうだ。そうなのだ。 もし、俺がちゃんとした人間だったなら、この15年で色んなバイトを掛け持ちする中で、きっとそのどれかで社員とかになれていたのだ。 少なくても、それなりに稼げるようになってただろう。 それだけ優秀で、必要とされる人材だったならね。 でも、そうじゃなかったから、それが出来なかったから、 今日、ここに至ってしまってるのだ。 「だから、俺みたいな人間にこそ、夢が必要なんじゃねぇかよ」 やっぱり俺は馬鹿ヤロウなんだと感じながら、 玄関に行き、靴を履き、走り出した。 「ちゃんと彼女に伝えよう。君が必要なんだって」
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