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04※
夢を見ているようだった。
五体がふわふわしていて、脳味噌が真綿に包まれるようなそんな夢心地の中、股間に突き刺さる長物の感触をぼんやり感じていた。
「っ、は、あ、ぁ、あぁ……ッ」
皮っぽい表面の握りやすい太さのその感触には覚えがあったが、それがなんなのか思い出せない。
肛門の中をその棒状のもので円を描くように掻き回されれば全身から力が抜け落ちるようで、下半身が焼けるように熱くなる。
「上坂君、君は中をこうして掻き混ぜられるのが好きなのかい?」
「っしゅ、好き、です、好きですっ、俺、久崎さんのことが……っずっと……!」
「それはいけないなぁ……全く話が噛み合ってないよ、上坂君」
久崎さんの手が胸元を弄られ、引き千切られた制服の下、剥き出しになった乳首を抓られれば背筋に電流が走る。
「あっ、ひ、ィ」
痛いとか、擽ったいとかもわからない。
ただ、久崎さんに体を触られている。その事実で頭の中が焼けるように熱くなり、ショートした思考回路では考えられなかった。
平らな胸ごと乳首を揉まれれば、脳髄が蕩けそうなくらいの快感が走り、声が漏れる。
強い快感を覚える都度、自分の中の何かが音を立てて軋むのがわかった。
「ぁっ、だ、め……です、久崎さん……ッ!」
「そう? 俺にはよがってるようにしか見えないんだけどな」
「ぁっ、く、ぅあッ」
引っ張って、捏ねられて、弄られる度に硬く凝る乳首を玩具か何かみたいに弄ばれている。
その度に体が震え、脳髄をどろどろに溶かすような熱が全身を巡るのだ。
久崎さんとこういうことがしたいとは思ったことはなかった。それでも、久崎さんがしたいというのなら別にいいと思ったし抵抗もない。女のように愛撫され、恥ずかしくないといえば嘘になるがそれでも久崎さんの手に抱かれるという事実に酷く興奮するのだ。
音を立て赤く腫れたそこにキスをされ、丹念に舌で嬲られる。濡れた音が響く。仰け反る上半身を抱き締められ、空いた胸すらも執拗に揉みしだかれれば何も考えられなかった。
「本当、可愛い乳首だね。久崎さんとやらとは本当になんにもなかったみたいだ。……勿体無いなぁ、俺なら君みたいな部下、毎晩犯してやるのに」
久崎さんの言葉の意味は分からなかったが、それでも可愛いという単語だけ耳に入り、顔が熱くなる。
可愛いと言われて嬉しいと思ったことなどない。寧ろ侮辱だと思っていたのに、それなのに、その単語に酷く胸の奥が熱くなるのだ。
ぷっくりと腫れたそこを舌で転がされ、尖った先っぽを甘く吸われれば恐ろしいほどの刺激が走った。
「ぁ、ひ……ッ! ぁ、あぁ……っや、あ……っ!」
濡れた舌の表面が乳首全体を包み込み、その冷たい感触に腰が大きく震えた。
じゅぶ、と音を立て、異物で腹の中をごりごりと掻き回されればそれだけで体は大きく跳ね上がる。
「あ、っや、め、奥、奥に……ッ!」
「ほーら、君の相棒だよ。根本まで味わいなよ」
「ぁ、あ゛ッあぁあ゛!!」
ずぶすぶと何度も内壁を擦り上げるように出し入れされるそれに麻痺し、ぐずぐずになった体内は恐ろしいほどの刺激だけを感じるようになっていた。
熱い、焼ける、溶かされてしまう。混濁した意識の中、与えられる快感だけが俺の現実だった。
「あぁ……可愛い声だね、上坂君。……もっと聞かせてよ」
「ダメ、動かしちゃ、だ、ァ、やッ、嘘、ダメ、無理ですっ」
「そんなことないよ。……あれから散々慣らしてやったんだから君のここなら簡単に飲み込めるさ」
「ほら」と、いう言葉とともに腹の奥深くにまで突き刺さるその異物の感触に頭の中が真っ白になる。
「ぁあ、ああぁ……ッ!」
膨らんだ腹の中、本来ならば届くはずのないそこを執拗に刺激され、自分のものとは思えない声が喉の奥から溢れ出した。
同時に競り上がってきた熱は止まることをしらないまま、勢い良く吐き出され久崎さんの服を汚す。
「……本当刀好きなんだねぇ。なら、今度はもっと君が大好きなのを入れてあげるよ」
……刀?……好きなもの?
射精後のハッキリしない頭の中、相変わらず靄がかかったような思考ではなにも考えることが出来なかった。
朧気な思考でぼんやりと久崎さんを見つめていたとき、瞬間、ずぷりと音を立て引き抜かれる異物に背筋が震える。
「う、ぁ……っ」
「ほーら、もう、そうやって残念そうな顔しないの」
「大丈夫、すぐ入れてあげるから」と笑う久崎さん。
その言葉は嘘ではなかったようで、空いたそこに充てがわれる硬い感触は先ほどよりも複雑な形をしていた。
「な、え、なに……これ……っ」
「んー? なんだと思う? ……ヒント、君の好きなもの」
皮膚に刺さる、複数の硬い感触。
好きなものって、なんだろうか。靄がかった視界の中、奇妙な臭いが鼻をつく。
なんだろうかこの匂いは。濃厚で……嗅いでるだけで頭がクラクラするようなこれは。
「死後硬直始まってると入り難いなぁ。……あ、そうだ、こうしたらいいんだ」
何やら閃いた様子の久崎さん。
そして何かが折れるような音とともに周囲に広がる錆びた鉄のような薫りは更に濃厚になる。
「ほら、上坂君、自分で脚、拡げてみせて」
ぐちゃぐちゃと音を立て、何かを捨てた久崎さんはようやく俺の方を見てくれた。
甘い声で強請られ、優しく腹の上を撫でられればそれだけで体内がきゅっと反応するのがわかった。
拒めるはずもなかった。
既に掻き回れていたそこは俺の意思では閉じることすらできないほど拡がっており、俺は、言われるがまま脚を大きく広げれば、久崎さんの視線が晒された下腹部に向けられる。
死ぬほど恥ずかしい学校だが、それでも。
「くざき、さん……っ」
「ああ……そうそう、いい子だね」
頭を撫でられ、頬に唇を押し当てられる。
その言葉に、キスに、胸の奥がじんわりと暖かくなって、もっと、と久崎さんに擦り寄ったときだった。
次の瞬間、ぬるりとしたなにかが肛門に充てがわれる。
さっきと同じものなのだろうか。分からなかったが、先ほどの引っ掛かりがなくなったそれは今度は中に入りやすくなってきて。
「ぅ、ん、んん……っ」
ぬるぬると表面を滑るように入り込んでくるそれは深くなればなるほど太くなっていき、少し、怖かったけど久崎さんがしたいというのなら俺はそれを受け容れるまでで。
それに、確かに息が苦しかったが散々中を押し広げられた肛門にとっては太いその感触は酷く、気持ちがいいのも事実だった。
「っは、あ、なんかこれ、冷たくて……っ」
「気持ちいい?」
「はいっ! 気持ちいいです……ッ!」
「だよねえ! それはよかったよ!」
「久崎さんも喜んでるよ。天国で」と笑う久崎さん。
どういう意味なのだろうか、何か大切なことを忘れているような気がしたが激しく中を擦られればそんな疑問もどっかに吹き飛んでしまう。
「あっ、あっ、奥で、すごい、ぬるぬるして」
「ほら、自分で挿れてみなよ。出し入れして」
言われるがまま、入っているそれを握らされる。
ぬるぬるした表面の下の無骨な感触。それがなんなのか分からなかったが、それでもどこか懐かしい感覚を覚えた。
「んっ、んん……ッ!」
激しくすると息が苦しくなるのでゆっくりと出し入れをすればぬるぬるしたそれが内壁を擦り上げる度に言葉にし難い感覚に襲われる。
恥も理性もなくなった今、中を、もっと中を擦るよう深く挿入されればこちらを見下ろしていた久崎さんは可笑しそうに肩を揺らして笑った。
「アハハハハ! 本当にしてる!」
「っ、あ、っ久崎さ、ぁっ、気持ちいいっ!」
「ひぃ……ふふっ、腹、痛いなぁ……もう……」
「久崎さんっ、俺、イキます、イッちゃいます……!」
「いいよ。君の精液なら俺が全部飲んであげるから」
「たくさん出していいよ」と、勃起した性器を握り締めてくる久崎さんにぎょっとする。
そして、躊躇いもなく俺の性器を口に含む久崎さんに戸惑ったのも束の間、亀頭部分から裏筋まで舌を絡ませられれた。
感じたことのない他人の舌の感覚に、敏感な部分を刺激されるという恐怖と興奮でどうにかなりそうだった。
「あっ、ぁ、や、だ、め……です……っ」
久崎さんが、俺のものをしゃぶってる。
それだけでどうにかなりそうなのに、尿道口を中心に垂らされた唾液を全体に絡めるように満遍なく舌を這わされれば恐ろしいほど気持ちよくて。
久崎さんの口の中が柔らかくて、ひんやりして、気持ちいい。
馬鹿みたいに熱くなった下半身、亀頭ごと滴る先走り吸い上げられれば挿入を繰り返していた手が思わず止まってしまう。
「ん、っ、んん……ぅ、く……!」
「っ、は……君のここ、熱いね……それに、もうトロトロだ」
「っ、ぁ、ん、や、め……っ」
気持ちいいを通り越して、下手したら魂ごと引っ張られるのではないだろうか。それほどまでに強すぎる刺激は最早苦痛に等しくて。
いけないのに、抑えることができなかった。
ガクガクと痙攣する下腹部、俺は堪らず大きく仰け反る。
「っ、ぁ、ああぁッ!」
既に限界近くまで張り詰めていた性器は、呆気なく久崎さんの口の中で出してしまう。
そして、咽るわけでもなく吐き出したばかりのそれを当たり前のように啜る久崎さんに慄いた。
イッたばかりの下半身はガクガクと震え「久崎さんっ」と人の下半身に埋まる久崎さんにすがりついた時。
「ふっ、ぁああ……っ」
じゅるるっと品のない音を立て、中に残ったものまで全て吸い出した久崎さんに、悲鳴のような声が漏れた。
量はない、残りカスみたいな精液までも飲み干した久崎さんは笑う。
「……は……っやっぱ若い子のは美味しいね」
次第に、靄が晴れるように鮮明になっていく視界の中。
「は、ぁ……っえ?!」
息を整えながら何気なく久崎さんに目を向けた俺は、そのまま凍り付いた。
顔を埋めいたはずの久崎さんは、久崎さんじゃなくて、濡れた唇に舌を這わせたその男は「気が変わったよ」と色っぽく笑う。
「君の骨の髄まで……責任をもって俺が食べさせてもらうよ」
色素の薄い肌、無造作な長めの前髪から覗く、淡い瞳。
萎えた俺の性器にキスをするそいつはどこからどう見ても月見嘉音で。
「つき、み……!」
まだどこかぼんやりとした頭の中、こんがらがって、パンクしそうになる俺にトドメを刺したのは自分の姿だった。
「っ、な、に……!」
刃物で裂かれたように切り刻まれた制服の下腹部。
脱がされた下半身に突き刺さる赤黒く濡れた青白く太いそれは人の腕のような形をしていて。
それを認識した途端、全身から血の気が引く。
その代わり、込み上げてくる恐怖心に後退ろうと地面に手をついた時だった。
「あぐッ!」
肩に突き立てられる日本刀。
深く、骨を掻い潜って皮膚を突き破り、地面に磔にされる。
「う、ぐぁ、あぁ……!」
焼けるように熱くなった肩から血がドクドクと溢れるのを感じながら、俺はゆっくりと顔を上げる。
そこには、悠然と微笑む月見嘉音が優しい目でこちらを見下ろしていて。
その鈍く光る瞳に、全身が震え上がる。
「……それじゃあ、頂きます」
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