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「ふぇ!?」
俺は涙と鼻水を堪えきれず、ぐしゃぐしゃに崩れた顔で透を見た。
「ぷっ、何て顔してんだよ、ほら立って」
さっきとは違い呆れ笑いをしている透が手を差し伸べてきた。
「許じで、ぐれるのがぁ!?」
「許す許さないは時間がかかるよ、ただ、これからの事を真剣に考えて話し合おう」
フラフラしながら立ち上がれない俺を、透と駆け寄ってきた母ちゃんが両脇から支えてくれた。
それを不満げに見ている陽子に何度も頭を下げたが
陽子は無視して家の中に入って行った。
「俺ぇ、この先ぃ、どうしたらいいのか分からなぁい」
脱力しすぎて力が緩みきってしまい、その場で屁をこいた。
「兄貴、俺たちが応援するよ。言っただろ?バックアップするって」
「シゲ、お母さんも応援するから」
優しい家族からのその言葉はネットでの誹謗中傷とは違い、傷ついた俺の心を温かく包み込んでいくようだった。
「大丈夫かなぁあ?!俺は大丈夫かなぁ!?」
「ははっ、王様なんだろ?さぁ、家に入ろう」
これまでの様々な事を思い出し
その場で立ち止まって、産まれたての赤ん坊のように俺は声を上げて泣いた。
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