俺を名乗る電話

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「わかった、わかった。話は後で聞いてやる……行くぞ」  そのまま俺は引き摺られるように家の隣にある交番に連れて行かれ、かれこれと言われも無い事情聴取を受ける事となる――。 「だから何度も聞かせるな! ヨシダさん家の息子さんだと? バカ言うな、息子さんはこの春に就職したばかりの二十代だ、お前みたいなオッサンはあの家にはいない!」  こんな不当逮捕あってはならない。後々の為に取り調べの一部始終をペン型盗聴器に録音しておく事にした。  要所と思われる節でスイッチを入れる。  しかし何故だろう……警察官の言葉に何処か、そこはかとない不安を感じる俺がいた。何で俺は交番で警察に身柄を拘束されているんだ……? 「さっきからカチカチとボールペンをノックしてるけど……気が散るから止めろ」  そう言って俺の手からボールペンを奪い取ると机の上に置いた。  すると交番の入口がスっと開く気配を感じたので振り向くと、そこには見知らぬ中年の女性が恐る恐るこちらを覗いて、警官に向かって黙って首を横に振っている姿が見える。  あのババア、俺の顔を見てコソコソと何を言っているんだろうか?
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