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「僕ね、『おにいちゃんとちさねえちゃんがいつかけっこんできますように』って今年は書いたよ」
私と新は、もはや苦笑いすることしかできなかった。
いや、とても可愛らしい願い事だとは思う。思うけど、年に一度のイベントだというのに、何も私たちのことをお願いしなくても…。そこはりっくん自身の願い事でいいんだよ。
そして冷静に考えたら、もしりっくんが書いた短冊を他の子ども達が見た時、何だかあらぬ誤解が生まれそうだ。お兄ちゃんとお姉ちゃんが結婚したがってる?家族なのに?と。
その時はりっくん、私たち三人の関係性をちゃんとみんなに説明してあげるんだよ。
あくまで今日のりっくんは病人のはずなのに、追撃はそこで終わらなかった。
「二人は、もうチューしたの?」
今日は完全に、油断していた。こんな日でも、りっくんの無邪気な質問が炸裂している。
私はもう、隣に立っている新の顔を見ることができない。ねえ新、これは何て答えたらいいの?
史上最高難度の質問に対し、今日の私はいつも以上に、頭を悩ませる。
【fin.】
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