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ただ、そんな私も今や完全に幽霊だ。ごめんなさい、とどこの誰に向けてなのか分からないけれど心の中で一応謝っておく。顧問の先生に向けてになるのだろうか。というか顧問って誰だっけ。もはや顧問も幽霊だ。
それでも、部活に顔を出していなくても、在宅で活動はしていると言えばしている。
今日は、りっくんの穴の空いた靴下を直すのと、りっくんの通園カバンにつけるお手製アップリケを完成させるのが目標だ。「なんかダサい」とりっくんはアップリケを嫌がるけれど、カバンを汚してきたのはりっくんだ。その汚れを隠すのにアップリケは丁度いいのだ。というか、六歳児のりっくんはどこでダサいなんていう言葉を覚えてきた?
現在保育園の年長クラス・たんぽぽ組にいるりっくんのお迎えに行くために、私は一日の授業が終わった後、一目散に学校を出る。練習漬けの運動部なんてとてもじゃないけど入れない。だから、部としてほぼ機能していない被服部は、今の私にとってとても都合が良かった。
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