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「りっくん、と…あおいくん、かな?」
お揃いの黄色い帽子を被った二人が、同時に私を見上げた。
「ちさ姉ちゃん」
「あ、りっくんのお姉ちゃん…こんにちは」
透き通るように肌が白いあおいくん、りっくんとはまた違うベクトルで可愛さを放っている。まるでお人形さんみたいだなと思った。赤ちゃんの頃は女の子に間違えられたりしてたんじゃないだろうか。
「こんにちは。どうしたの、何かあった?」
私が尋ねると、二人は顔を見合わせた。でも何も言わない。りっくんが口を半分開きかけた所で、あおいくんがふるふると小さく首を振った。
「僕もそろそろママが迎えに来ると思う。りっくん、また明日ね」
「うん…分かった。…平気?」
「大丈夫だよ。ありがとう、りっくん」
言葉数の少ない会話の中で、二人だけにしか分からない何かを交わし合っている。「何々?」と変に詮索するのはやめておこうと思った。
りっくんは何かを言いたそうで、あおいくんのことをとても心配していて、けれどあおいくんは強がっていて。笑って手を振ってはいるけれど、あおいくんはきっとどこかで無理をしている。そのことだけは、傍から様子を見ているだけでも何となく分かった。
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