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「今度、お遊戯会あるでしょ」
「うん。たんぽぽ組はハンドベルの演奏をするんだよね」
「そう。それでね、誰がどの音のベルを鳴らすか今日決めたんだけどね、僕はピンク色のベルで、あおいくんは緑色のベルだったんだ。あ、ハンドベルって、ドレミの音ごとに鐘の部分の色が違うの。みんなバラバラなんだ」
「分かる分かる。ちさ姉ちゃんも保育園の時にハンドベルやったなぁ。『きらきら星』だったかなぁ」
「僕たちは『アンパンマンのマーチ』やるよ。それでね、あおいくんに、いいなぁって言ったの。僕なんて最悪だよ、ピンク色だよって。そしたらあおいくん、僕はりっくんが羨ましいけどなって。何で?って聞いたら、その時は教えてくれなかった。後で話すねって、小声で言われたんだ」
「…その『後で』が、帰り際あたり?」
「うん、ちさ姉ちゃん待ってる時。僕、色の中だとピンクが一番好きなんだってあおいくんに言われたの。りっくんにしか話さないけど、普通は女の子が好きなものを、僕は好きみたいなんだ、って。ピンクだけじゃなくて、例えば…フリルがついたものとか、キラキラしたものとか。それから本当は、スカートも穿いてみたいんだ、って」
何となく、話が見えてきた。それでもここで口は挟まず、話の続きを静かに待った。
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