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六歳児のおやつのチョイスとしてはなかなか渋いというか変化球すぎて、不覚にもちょっと笑いそうになってしまった。
「ところてん…そう言えばもうしばらく食べてないかも。でもちさ姉ちゃんは、今日のおやつはドーナツの気分だなあ」
じゃあ僕ポンデリングのいちごがいい、とすかさずりっくんはにこにこしながら言った。りっくんが笑ってくれたのは嬉しかったけれど、いけない、このままではミスドの話に脱線してしまう。ちなみに私はゴールデンチョコレートと、期間限定のチーズタルトドーナツが食べたい。
「…っていう風に、こんなに仲が良い私とりっくんですらも、考えてることって全然違うでしょ。違う人間なんだから、違って当然なの」
「あおいくんが、女の子っぽいものを好きって言うのも、それと同じなの…?」
「私は、そう思う。だから、人が好きって言ってるものを、頭ごなしに否定してくるケンちゃんは、やっぱり私も間違ってると思う。人それぞれ違って当たり前のことを、周りの人間がとやかく言う資格なんて本当はないはずなんだよ」
きっとまだ、足りない。私は慎重に、言葉を重ねた。
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