りっくんは今日も

３．どうして男の子はスカートを穿いちゃいけないの？

「でも、あおいくんの好きなものとか、『スカートが穿きたい』っていう気持ちは、確かに珍しいのかもしれない。私も、りっくんも、ケンちゃんも、程度の差はあってもそこは一致してた。マイノリティ…はちょっと難しいか、多数決ってりっくん分かる？」

「分かるよ。みんなで何かを決める時に、いくつかある中からそれぞれ一つだけ選んで、一番人気があるものにすることでしょ」

「そう。たくさんの人に選ばれたものが『多数』で、それ以外は『少数』。少数のほうは、冷たい言い方をしたら最後には結局無視されちゃうよね。…こういうことって、何かを決める時だけじゃなくて、何でもない毎日の中にも結構潜んでるの。今回のことで言うと、あおいくん。珍しいな、ちょっと変だな、って思っちゃったかもしれない。それはあおいくんがどちらかと言うと『少数』の側だから…かな。こういう風に言い切っちゃうのも本当はあんまり良くないことなのかもしれない。私たちはどうしても、『多数』のほうを『普通』だと思っちゃう生き物で、これも良くないんだよね。『少数』が『普通じゃない』とイコールになって、肩身の狭い思いをすることになっちゃうから。『普通』ってよく使う言葉だと思うけど、何が『普通』かなんて、それこそ人によって全然違っていいはずなの。自分が思う『普通』を物差しにし過ぎちゃうと、どこかで周りとズレが生まれたり、場合によっては誰かを傷つけちゃうこともある」