4.お兄ちゃんは僕のことが嫌いなの?

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 新はもう制服姿ではなく、いつものよれよれ部屋着スタイルだった。  それ何年着ているの?と思ってしまうような色褪せたTシャツに、同じくそれ何年穿いてるの?と思ってしまうような、裾が擦り切れ気味のハーフパンツ。  仮にも私は彼女なんだけどな、そんな恰好を彼女に見られて恥という感情は湧かないのかな、なんていう風にも思うけれど、つまり新にとっても私は彼女というより家族に近い感覚になってしまっているのかもしれない。悲しむべきなのか喜ぶべきなのか。  私が何者か、一言で言えば、半藤家の長男坊・新の一つ年下の恋人だ。付き合い始めて、大体半年が経過した。  もう引退しているけれど、新は元々科学部に所属していた。  科学部の活動場所・科学実験室は家庭科室の隣にある。部活は別だけれど隣どうしで色々あって、その色々をわざわざここでは説明しないけれど、私は今年の一月一日に新から告白され、晴れて付き合うことになった。  年明け早々、両想いの喜びを噛み締めていた私は、これこそまさにハッピーニューイヤーだと思った。何ておめでたい日。何て覚えやすい記念日。
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