4.お兄ちゃんは僕のことが嫌いなの?

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「ああ、りんごと、ポカリと、熱さまシート」 「何でりんご?…あ、すりおろすの?」 「そうそう。風邪に効くって言うでしょ。りっくん起きてたら、食べられそうか聞いてみる」  相変わらずの母ちゃんっぷりだな、と新は肩を(すく)めながら呟き、自分の部屋に戻るために階段のほうへと向かった。下に降りてきていたのは、喉が渇いたから水分補給しに来ただけなのだろう。  全く、付き合っている彼女を目の前にして、もう少し話をしようという気持ちにはならないのだろうか。あと、私がりっくんの母ちゃんだとしたら、それはつまり新の母ちゃんということにもなる。私はあなたの彼女なんですけど。  そんなことを若干ぷりぷりしながら考えていたら、階段を上っている途中で新がふと足を止めて、言った。 「律、ポカリよりもアクエリの方が好きだと思う」  一言そう言い残し、すたすたと二階へ上がっていった。  私の知らない、りっくんの情報。  さすが実の兄弟。謎の対抗心を小さく燃やしつつ、私もキッチンを後にした。
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