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コンコン、と軽く二回ノックしてから、寝室のドアをそっと開ける。
窓際のベッドの上、仰向けの姿勢で、りっくんは眠っていた。
顎の下まで布団を掛けているその姿はなんだかミノムシみたいで、こんな状況でも私はつい可愛いと思ってしまう。
「ちさ姉ちゃん…?」
ぱちりと目を開いたりっくんが、少し掠れ気味の声で呟いた。
「あっ、ごめん起こしちゃった…?」と私は慌てつつ、ベッドの傍に静かに腰を下ろした。
「ずっと寝たり起きたりしてて、今は起きてたから大丈夫だよ」
「そっかそっか。具合はどう…?まだ辛い?」
「ううん、午前中と比べたら全然平気。でもちょっとだけ身体が重いかなぁ…あと喉もちょっと痛い」
「じゃあもうちょっと横になってたほうがいいね。熱も測ってみよっか」
サイドテーブルの上に置かれている体温計に手を伸ばす。それに倣って、りっくんも上体を起こした。
思っていたよりも元気そうで良かったけれど、それでもいつもと比べたら、心なしか身体が小さく見える。
りっくんが脇に挟んだ体温計は、三十七度二分を表示したところで電子音が鳴った。
「どんどん下がってる」
りっくんが嬉しそうに呟く。
これもう剥がしていいかな?とおでこに貼られていた熱さまシートを指差したりっくんに、私はOKサインを出した。
とは言え油断は禁物だ。私はもう一度りっくんをベッドに寝かせて、布団をかけ、その小さな身体をしっかり守った。
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