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「それ、何入ってるの?」
よほど言いたくないのか、言いづらいのか。りっくんは話を逸らすように、私が手に持っているレジ袋の中身を尋ねてきた。
私はまだもやもやしたままだったけれど、中からポカリを取り出して、体温計の隣に置いた。
「置いとくから、いつでも飲んでいいからね」
「わあ、ありがとう」
「でもりっくん、アクエリアスのほうが好きなんだって?お兄ちゃんが言ってよ」
するとまたりっくんの顔が曇ってしまった。何だ何だ、一体兄弟の間に何があったというのだ。けれどさっきキッチンで話をした時の新は、至っていつも通りだった。
「お兄ちゃん、僕のことなんかどうでもいいんじゃないの…?」
「ちょっとちょっと、どうしたのりっくん…?やっぱりお兄ちゃんに何か嫌なこと言われたんじゃないの?」
「ちさ姉ちゃんは、僕のこと大好きだから心配するってさっき言ったよね。じゃあお兄ちゃんは、僕のこと嫌いだから、どうでもいいって思ってるってこと?」
それだけ言うと、りっくんは頭まで布団をすっぽり被り、全身丸ごと隠れ込んでしまった。参った。これは完全に参った。
「りっくん、お兄ちゃんがりっくんのこと嫌いなわけないでしょ…!とりあえず、すぐ戻るから。ちょっと待ってて!」
私もそれだけ叫ぶと、急いで寝室を出た。
新を問いただすのと、りんごをすりおろすの、どっちを先にやるべきか。選べない、どっちも同時に片付けたい。こういう時に身体がもう一つあったら。…なんてことを考えてる場合ではない。
迷った挙句、キッチンに急行する。
爆速でりんごの皮を剥き、そしてすりおろし、皿に盛り付け、その皿を持ったまま、今度は新の部屋へと走って行った。
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