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「新、りっくんに何か嫌な言い方してない?」
「何、嫌な言い方って」
私は、例の寝室での出来事を新に話した。けれど一通り話しても、新は首を傾げる一方だった。
「今日だってちょくちょく様子見に行ってたって、さっきも言っただろ」
「顔見てはい終わり、じゃ駄目なんだよ?分かってる?りっくんは病人なんだよ?」
「俺のこと何だと思ってるんだよ」
「感情がちょっと欠落している人」
「彼氏に言う台詞とは思えないな」
一体どの口が言っているのだろうか。唐突に彼女扱いされても逆に困ってしまう。新はとにかくマイペースだ。おっとりしているという意味ではなく、その言葉のまま、あくまで自分主体の速度でいつだって進んでいく。
「ここのところ俺が忙しいせいで構ってやれてないから、それで寂しがってるとか、そういうことなんじゃないの」
「受験勉強で忙しいんだ、ってちゃんとりっくんに言ってないの?理由も知らないでいきなり構ってもらえなくなったら、嫌われてるのかなって思っちゃうでしょ」
「律に受験って言ったって分かんないだろ。そりゃ何となくは言ったよ、勉強しなきゃだからって。律も寂しいなら寂しいって素直に言えばいいのに」
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