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腹を立てつつも、私は大人しく新の部屋から出て行った。
ここまでの私の言動を見ても明らかだと思うけれど、私はとにかくりっくんのことが大事だ。新に母ちゃん呼ばわりされてしまうくらい、りっくんのことを気にかけている。きっと新の言葉通り、りっくんを想うと母性が勝手に溢れてきてしまうのだろう。
でも、一見冷たくて、素っ気なくて、時には怒りすら覚えてしまう新のことも、私はやっぱり好きなのだ。
どこがどう好きなのかと聞かれたら、上手く答えられない。上手な答え方を考えているうちに、「その質問ってそもそも野暮では?」なんていう風に思ってしまう。
どことかじゃない。部分的に好きなわけじゃない。新の存在そのものに、気付いたら惹かれてしまっていた。
何だか悔しいような気もするけれど、好きな人の邪魔はやっぱりしたくない。やりたいことをやってほしいし、行きたい所に行ってほしい。
新とりっくん、それぞれ別の理由で、私にとって愛しい人なのだ。
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