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再び寝室に入ると、りっくんは布団を被って雲隠れしたままだった。「持って来たよ」と優しく声を掛ける。
数秒の間を置いて、りっくんは目元だけそろそろと布団から覗かせた。
「…ありがとう」
ようやく顔を見せてくれたりっくんはゆっくりと起き上がり、私が差し出したお皿を両手で受け取った。
スプーンを口に運ぶペースは思いの外ぱくぱくと速く、その様子を見て私は少しほっとした。
お腹空いてたんだね。元気になったら、りっくんが食べたいお菓子、何でも買ってあげる。リクエストがあれば、オムライスでもハンバーグでも、何でも作っちゃう。
そして、新の足りていない説明を補うために、私は誤解を解き始めた。
あくまでりっくんに寄り添うように、傷つけないように。
「りっくん、あのね。お兄ちゃんは、りっくんのこと嫌ってなんかないよ。ちさ姉ちゃん、今さっきお兄ちゃんと話してきた」
不安そうな顔で、りっくんがじっと私を見つめてくる。大丈夫だよ、そんなに不安がらなくていいんだよ。
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