4.お兄ちゃんは僕のことが嫌いなの?

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「お兄ちゃんが、しばらく前からいっぱいお勉強してるのは知ってる?」 「うん、知ってるよ。勉強しなきゃなんだ、ってお兄ちゃんも言ってた」 「じゃあ、何でお兄ちゃんが勉強しなきゃなのかは知ってる?」 「何で…?えっと…勉強がすごく難しいから?」 「うん、そうだね。確かにすごく難しいみたい。でもね、それだとまだ、正解の半分くらいなんだ」 「…そうなの?じゃあもう半分って?」  私はベッドの端にそっと腰掛けた。ふと窓の方を見ると、レースのカーテンの向こうで、生い茂った葉が大きく風に揺れていた。葉擦(はず)れの隙間で、セミの声が聞こえた。今年初めてだ、と思った。  私がりっくんのお迎えに行くようになった頃、あの葉はもっと初々しかった。枝のあちこちで、薄桃色のつぼみが膨らんでいた。  そして花が咲き、満開の桜を見上げるりっくんの口は半開きで、それが可愛くて可笑しかった。花びらが降る道を、りっくんと手を繋いで歩いた。綺麗だね、と何度も言い合った。たった数ヶ月の間に、桜の木もすっかり衣替えしているようだった。  それだけの時間が過ぎているということに、ふとした時に少し驚いてしまう。
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