4.お兄ちゃんは僕のことが嫌いなの?

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 缶詰類の()()は、シンク下の収納の中だ。食材含め、キッチンを自由に使っていいことは新経由でお母さんの許可を得ている。  ツナ缶、やっぱり二つ余ってた。足りないのはトマトとオクラ、あとごま油も無くなりそうだから買っておこう。りっくんが好きそうなお菓子も、見繕って買ってきてあげよう。  と頭の中で算段を立てていたら、階段を下りる足音が聞こえてきた。 「…何してんの」 「食材チェック。これから夜ごはんの買い出しでスーパー行くから」  再びキッチンに降りてきた新は、ふうんと返事をし、冷蔵庫の中から麦茶が入ったボトルを取り出すのか思いきや、シンクの端に軽く寄りかかり、何だか動こうとする気配がなかった。  そこで私は、あれ?とふと気付いた。  壁の時計を確認する。時刻はもう六時を回っていた。 「今日は予備校行かないの?」  しゃがみ込んだ姿勢のまま、大きく新を見上げて尋ねる。確か予備校の講義は、五時スタートだったはずだ。 「うん、今日は行かない」 「ほんとにいいの?りっくんのこと気にしてるなら、大丈夫だよ。私看てるし。さっき言ったことは、また後でりっくんに話してくれればいいから」 「…そういうことはあんまり間空けないほうがいいだろ」 「え?なに?」  ぼそぼそと言われたから、どういう意味なのかよく分からなくて思わず聞き返した。けれど「何でもない」と首を振られてしまった。
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