4.お兄ちゃんは僕のことが嫌いなの?

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「夕飯って何作んの」 「冷製パスタ。トマトとツナとオクラが入ってて、私これ結構自信あるんだ。りっくんからも好評で、今日は直々にリクエストされたの」 「…俺も食いたいんだけど」  思わず、新の顔を二度見した。  予備校の講義が早めに終わって、夜ごはんの時間に家に居たとしても、新はなかなか部屋から出てこようとしなかった。  たまにおにぎりを差し入れで持っていっても、既にカロリーメイトだとかランチパックだとか、机に向かったまま片手で小腹を満たせてしまうものを食べた後だったりするのだ。  そんなものばっかり食べてないでよ、栄養偏るよ、と再三注意はしているのに、なかなか直そうとしない。だけど私が作ったおにぎりは、毎回ちゃんと食べてくれる。 「珍しい…雪でも降るのかな。一緒に食べる?」 「うん」  相変わらず何を考えているか分からない表情ではあったけれど、新は確かに頷いてくれた。  りっくん、お兄ちゃんと一緒にごはんが食べられるって知ったら、きっと喜ぶだろうな。嫌ってるわけじゃないということをちゃんと説明してあげてねと言ったけれど、新は言葉ではなく、きっと行動で示そうとしているのだろう。  それでも、いいと思う。りっくんには、きっと伝わるはずだ。 「それ、上に大葉とか乗せるの合いそう」 「あー…!確かに合うかも。じゃあ大葉も買おうっと」
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