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「律、ごめん。そんなに時間はかからないから。すぐ帰ってくるよ」
けれどりっくんの顔にはもう寂しそうな気配はなく、私と新を交互に見比べながら、何だかいつも以上ににこにこと笑っていた。
「一人でも待ってられるから、急がなくて大丈夫だよ。僕知ってるもん、そういうの、夫婦水入らずって言うんでしょ」
思わずぎょっとせずにはいられなかった。りっくん、一体どこでそんな言葉を仕入れてくるの?
私たちは正確に言うと恋人だけれど、普段から恋人というより家族じみている部分はあるから、夫婦もあながち間違いではないのだろうか。とは言え隣にいる新も、きっと同じようにぎょっとしたと思う。
そんな私たちを追撃するように、りっくんは重ねて言った。
「この前保育園でね、短冊にお願い事書いて、みんなで笹の葉に飾ったの」
そう言えば、今年書いた内容はまだ聞いていなかった。
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