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赤ちゃんがやって来る
突然、娘に母子手帳を見せられた。
父の欄が空白。。。。
私も頭が、真っ白になった。
「結婚するの?」
「しないよ」
「どうして? 相手の人既婚者なの?」
「違う、独身」
「何で結婚しないの? 彼が嫌がってるの?」
「違う、私のわがまま。結婚しようって言われたことも有るけど、結婚生活が見えないから断っていた。子供が出来たからって急に結婚。。っていうのは違うと思う」
「一人だったら全部自分でするけど、誰か居たら頼るでしょ
う? それに親戚付き合いも嫌だし、仕事場でみんなの愚痴を聞いてたら、結婚の選択が違う気がする。」
何も返す言葉は無かった。。
二十歳の時から独り暮らしを始めた娘。親が口を出すようなこともなく堅実に暮らしていると思っていた。時折、彼氏がいるのかな?。。と思うことはあった。それも普通の通過点と思っていた。
私が自分の仕事に夢中で、子供のことに構わなすぎたのか?
親である私たち夫婦が、よい手本を見せられていなかったのか?
悶々とする日々が続いた。
そんな中、検診へ行くと言う。
娘には黙って産院へ行ってみた。迷惑そうな顔をしながら、緊張している顔が少し綻んだ。一緒に診察室へ行く。
「順調ですね。」
主治医の言葉に、ホッとする自分がいた。超音波診断で1,8㎝。。
でもしっかりと心臓の拍動を見ることが出来た。
今まで
何で結婚しないの?
もっと普通に子供産んでよ。
廻りに何て説明するの?
選択的シングルマザーって何?
心の中でグルグルと廻っていた感情が、小さな小さな心臓の鼓動を目の当たりにした途端、私の心から全てが吹き飛んでしまった。どんな形で産まれて来るにしても、私の可愛い孫だし、きっと娘の子供として産まれてくることに何か意味が有るのだろう。。と
夫は、私よりすんなり受け入れた。
始めは驚いたようだったが
「バカだねぇ、自分で苦労することを選ぶのかねぇ」
とボソッと呟いただけだった。
兄である息子も「へぇ」と一言。後は笑っていた。
こう考えると、うちは世間様からみたら我が家は変わった家族に見えてるのかも。。と思ってしまう。
ただ、今は産まれてくる天使に心奪われている。
私たち夫婦の第一子は、中々名前が付かなかった。
夫が命名に時間がかかった。大吉の名前を付けたいと出生届けを出すギリギリ迄考えていた。
家の第一子は、二週間は「赤ちゃんと」呼ばれていた。
第二子は、妊娠がわかった途端、呼び名を決めていた。
ただ私の決めた名前は字画が悪いと夫から指摘され呼び名はそのままだったが、漢字は変わった。
夫いわく、「女の子は名前が良いと、いい縁談が来て幸せになる」
と説得され、私の付けたかった名前は却下され現在の名前になった
のだが、縁談どころか、嫁には行かず子供を産むと言うのだから、姓名判断も中々当てにならないものだなぁ。。と思っている。
適齢期と呼ばれる頃娘は「お母さんの介護しなくちゃいけないから嫁にはいかないの。。」と言っていた。私が悪性腫瘍で何度も手術を受けたことがトラウマになっているのだろうか?。。と悩んだ時期もあった。
しかし私は、好きなように生きている。やりたいことをやって言いたいことを言っている。。しかし家族はどう思っているのか?とすら考えたことがなかった。それ程幸せな人生を送ってきて、今、子供のことで悩むことが有るとは。。正に青天の霹靂である。
息子も変わった奴である。
仕事は真面目に行くのだが、私生活では完全にオタクなのだ。
早く家を出ていき、一人だちしてほしい。。
そう願ってはや何年だろうか
帯の日
日々過ぎるのは、あっという間である。
初めて母子手帳を見た日から、止まっている自分も居るのだが娘のお腹は日々大きく成っており、五ヶ月の戌の日がやって来ていた。
是非、一緒に戌の日参りに行こうと思っていた矢先、自分が倒れてしまった。
入院中、自分が落ち着くとまた娘のことというよりは、日々成長しているであろう孫のことが気になりだした。
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