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「憂(うい)ちゃん、好き。付き合って」
「無理」
本日1回目の告白も、しっかりとお断りする。
この光景にも慣れた同級生一同は全く意に介さずに各々の休み時間を過ごしている。
机を合わせて一緒にお弁当を食べている友人の一氏 麻友(いちうじ まゆ)も同じく、こちらに目もくれずにスマホをいじっている。
「陽介(ようすけ)、お昼は食べたの?」
「まだ。」
「食べてきなよ」
「食べたら付き合ってくれる?」
「いや、なんでそうなんの。」
はよ行け。と手を振ると素直に去って行く幼馴染の背中を見送った。
「ほーんと、毎日律儀だね陽介くん。」
「ほんとにね…。」
何でこうなったんだかと、頭を抱えたのはもう何か月も前の事。
今となってはもはや挨拶とか一種のコミュニケーションレベルだ。
手を止めていた食事を再開しながら麻友と推しアイドルの話をする。
これが毎日の昼休み。
「憂もその内絆されて、陽介くんとくっつくのか~なんて思ってたらもう一年近く経ってるじゃない。」
「え、くっつくと思ってたの?」
「あのルックスに運動神経に何もかも良い王子様なんだから、ねえ」
くいっと顎である方向を指され、少しだけ目をそちらにやると友人に囲まれて何やら楽しそうに笑う陽介が見えた。
ゆるくセットされた髪が揺れ、笑うと一層幼く見え垂れ目の端には涙ホクロ、そして八重歯を覗かせている。
室内の女子や廊下を歩く女子が視線を送っているのにも全く意に介していないのがある種の厄介。
「ほら、この間は一年生の可愛い子から告白されてたらしいよ?」
「へぇー。あ、この煮物美味しい。」
「興味の無さすごいわね」
「まあ…小学校からあんなだし」
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