2.異形

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 傷はさほど深くなく、落ちる血も大した量ではない。  だがポタッと落ちる度に増える人影。まるで血の匂いを嗅ぎつけたサメのように集まってくる。  一人が獣のような雄叫びをあげた。  月明かりが見せるその顔は異形の者。姿形は人間と同じ。  だが目が血走り赤い瞳に見えた。  口は半開き。涎を垂らしている者までいる。  女が服の襟を押し下げた。  白磁器のように艶やかな首筋と肩が露わになる。  髪を片方に寄せ首を傾げれば、異形の者たちが地面を抉るようにして飛びかかってきた。
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