くみちょうがきれた

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くみちょうはちょっとこわいかおだけど、セミとりとか、ザリガニとりがとってもじょうずです。 ぼくの家のうらは野原があるのであそぶのはいつもそこでした。 くみちょうはドッヂボールをしりませんでした。 どうして、ときいたらしらない、といいました。 まさみくんが大人みたいなかおで「おじさんだから」といったのでそうだな、とおもいました。 まさみくんはくみちょうのあいじんだそうです。よくわからないです。でもそうらしいです。 「アポロ11号がむかえにくるんだ」 くみちょうはそういってました。くみちょうは月にいくといいます。 ほんとうじゃないとおもいました。 でもまさみくんもそうだ、といいました。おとうさんに聞くとだまってうなずいていました。 くみちょうは月にいくまでのあいだだけぼくのうちにいるらしいです。 くみょうがまともにはなしができるのはあんまりなかったのですがくみちょうのいえはすごくびんぼうだったそうです。 テレビもなかったからアポロ11号が月面着陸したときもみれなかったみたいです。 だからくみちょうはまさみくんといっしょに月にいくんだといいました。 ぼくもいきたかったです。 おとうさんにそういうと、こわいかおをして二度というな、といいました。 くみちょうはその時ちょっとまともになって、「ごめんな」といいました。 おとうさんはとつぜんなきました。 おとうさんはくみちょうがすわっているいすの下でどげざをしました。 すみませんすみませんおれをひろってくれたのにとあやまりました。 そしたらくみちょうは「おまんこ!」といってわらいました。 くみちょうが月にいった日は夏休みのさいごの日です。 まさみくんにおみやげもってきてね、といったらうなずいてくれました。 月はさむいらしいのでくみちょうはコートをきていたのに、なんでだかぼくにくれました。 家におとうさんのしごとの仲間がたくさんきました。 ぼくの家の裏はのはらがあるので、そこから月にいくといって、おとうさんはくみちょうをつれていきました。 ぼくが手をふっても二人は手をつないだままでふりむいてくれません。 それで、パン、パン、という音がきこえました。 おとうさんのしごとの仲間に聞いたら二人はアポロ11号にのって月にいったそうです。 みんなさみしいからないてました。帰ってきたおとうさんもないていました。 ぼくもちょっとないてしまいました。じてんでしらべたら月はお店やさんがないから、まさみくんにおみやげなんかたのむんじゃなかったとおもいました。 ぼくはおとなになったらくみちょうにあいにいくつもりです。 しょうらいの夢はお医者さんです。 コートを着てまさみくんとくみちょうに会いにいって、くみちょうの頭のきれた線をつないで、それからおとうさんといっしょに月であそびたいです。 おわり 【くみちょうがきれた】完
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