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そう言いながら昌哉に近づいて肩に触れる大磯の手を思いきり振りほどいて叫んだ。
「触んじゃねえよ!汚え手で俺に触るな…。男の癖に男にぶち込まれてひいひいよがる変態が!」
昌哉は、見た。小学生6年の時だ。
父の日の工作を作るという授業があって、すでに父のいない昌哉は父代わりに接してくれる大磯の為に作ろうと思った。
案外よく出来たペン立てを持って、大磯の家に黙って行ったのだ。
合い鍵は持っていたのだ。
鍵を開けてそう、とドアを押せば靴が二人分。
誰かと話でもしているのかと思ってリビングを見ても誰もいない。
ふと、寝室をのぞいた。
……ほんの、偶然だったのだ。
今思い出しても気分が悪い。
大の男が重なりあって、睦みあっている。
水音が激しく部屋に響いて、
大磯は目を塞がれ、手足を縛られ、口を塞がれて、普段排便する場所に雄を咥えていた。
体は汗で濡れて、意味の解らない音を漏らして呻いていた。
ぬめぬめとする体、のたうつ様は、みみずに似ていた。
堪らずに逃げ出した昌哉は、気が動転していたのだろう。
プレゼントするペン立てを落としてきてしまった。
それから昌哉は大越を見るたびに、その情景を思い出してしまうのだった。
気持ちが悪い。吐き気がする。
自分の事を思ってくれる、いつだって大磯は自分より雅哉や雅哉の母親、組の事を第一に考えてくれている。
そんな事は解っているのだ。
だが、脳裏にこびりついて離れない。
いつも、大磯を見るたびに、あの、ぬらぬらと蠢く大磯が頭に浮かぶ。
「坊ちゃん、」
「うるせえ、お前なんかな、俺が組長になったら追い出してやる!いいか、俺は…男か女か解んねえ奴なんか大嫌いなんだよ!」
そう叫んで駆けていく少年の姿を見ながら大越は目をつぶった。
大越は男が趣味な訳ではない。
そうだ、あの時も、
(あれは接待だ)
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