巡り

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巡り

 辺り一体白の空間。ここへ来るのは3度目になる。私はあの怪物に殺されたのだ。 「帰ってきたか。まぁ、最後の最後までやってくれたな……」 呆れた声が聞こえてくる。 「とりあえず、おかえりだ。」 疲れた口調で私を迎えるこいつは神らしい。にわかには信じ難いが神らしい。前世で罪人であった私に罪を償わせると生き返らせてくる。死んでもなお成仏できないとはと毎度不思議に思っていると神は話を始める。 「お前には贖罪の旅として様々な世界へ送り込み自身の行いを受けそれを罰とし成仏させると話していたはずだが覚えていたか?」 神の話を受け私は思い出す。その表情を見て話は続く。 「先の世界では女性へと転生させ娼婦として、心壊れるまで男共に犯されることで凌辱の罪を償わせるとしていた。」 「しかし、お前は客の殺害は愚か逃走し罪のない者達の命を奪った。最後は崖から飛び降りここへ来ると安堵していたが何故生きてた?」 神によって私の前世の履歴書が語られていく。改めて言われると中々照れくさい。 「回復して心入れ替えたと思えば、追っての兵士を軒並み倒すとか何考えてるの?狩るなら鳥や鹿、猪にしろよ。お陰で別世界から神話級の動物を召喚したんだからな?」 やっぱりこいつの仕業かと睨みつけると、神の説教もとい愚痴は止まらない。 「黙ってあいつにやられてくれよ。なんで山にいた親子殺したの?彼らには何もしない予定だったのに。」 そう。私は怪物に殺される前に恩人2人を自らの手で殺害している。 「どうせ2人も死ぬなら私の手で殺したかったから。」 神は大きな溜息を吐き私に言う。 「はぁ〜、口を開いたと思えばこれか……」 「話していても埒があかん、もう次の世界に行ってもらう。お前には転生の度に力を奪うこととしているが、今回は何にする?強制的に貰うから関係ないけどね。」 私は神より次の世界で不自由になるように力を渡すこととなっている。1回目は殺意、2回目は喜び。殺意は人を殺さないようにと強制的に奪われた。喜びは殺しても達成感を与えない為に。 「それでは転生してもらう。次は何を貰おうか。しかし、殺意がないのに何故人を殺めるのか本当に謎だ。」 私の体が光始める。私は何を奪われるか分からないまま次へ向かう。神の最後の疑問に対してもし答えるとするのであれば、私にとって殺人や殺生は、人々が植物や作物を収穫する感覚に近いと思う。植物の実を摘むとき殺すとは誰も思わないからだ。こんな事を考えながら光に包まれていく。
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