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第30話 一歩踏み出すってよ
「ん.....ん?」
なんだろうこの匂い.....?
鼻をヒクヒクさせると香ばしいいい匂いが俺の鼻をくすぐる。
「はっ!?」
ばさりと起き上がる。
.....ばさり?
横を見ると俺に掛けられていたであろう布団がベッドに。
「いい匂い....じゃなくてココどこ??」
俺の寮部屋と似ているけど、どこか....そう金がかかって見える。室内はシンプルで物はあまり置いていない。だけど所々ある装飾に金がかかってるなぁと思わされる。
マジでどこだここ?
えーっと、昨日は体育祭(めっちゃ濃い)があって、それで.....優勝して。その後おっちゃん片付け頼まれたんだっけ?そんで旧体育倉庫行って、閉じ込めら、れ....て。
「ぅわ~........」
思わず呻く。覚えてる。思い出した。
俺、おっちゃんにあんな事言って......っ!
じゃあ流れ的にここはおっちゃんの部屋!?
その考えに至ったとき丁度部屋の扉が開いた。
そこに居たのはやはりジャージ姿のおっちゃんだった。
「お、猫屋起きたか。おはよう」
「お、おおおはよう!」
「すっげぇ元気だな?腹減ってるだろ、顔洗ってこっち来いよ」
おっちゃんはそう言って引っ込む。
.....なんだか普通だ。
俺は自分の言った言葉はうろ覚えながらも頭にある。だけどおっちゃんが俺に言った言葉がはっきり思い出せない。
なにか重大なことを言われたような気がしたんだけど......あの時は自分のことで精一杯だったから他に気をやる暇がなかった。
しかも俺のあの乱れようを見て、自然に接されるとこう気恥しさが......ね。おっちゃん俺に引いてないかな?俺だったら他人にあんなの見せられたら引く自信しかないし。
そうもんもんとした気持ちで顔を洗い諸々を終わらせた俺はおっちゃんが居るであろう部屋に移動した。
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