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第1話 転校生来るってよ
ピピピオイピピオイオイピピ!!
「うぅ....ん」
ピピピピピオイオイオイオイオイオイ
「ぅ~っうるせぇ!」
ガチャん
うるさい目覚ましを叩いて止める。
っていうか昨日の俺は頭がおかしんじゃないのか?なんだよピピピピピオイオイっていうアラームは。
もしかして昨日飲んでたとかか?......いや素面だったな。まず俺は高校生だから飲めないし....。まぁこの学校で飲んでるやつは居るだろうけど。
「はぁ、学校行きたくないなぁ。なんで俺はこんな所にいるの.....。」
朝起きると必ずそう思ってしまう。
それだけこの学校に入学したことを悔いているという訳だが、今更文句を言ってもどうしようもないのもわかっている。
ダルい身体を無理やり動かし身支度をする。最後の確認で洗面所の鏡を見た。映るのは冴えない自分。母親譲りのタレ目で人畜無害そうな顔、そして目にかかるくらいの長さの前髪。
この学校ではいいカモだろう。カツアゲとかパシリとか.....。
まぁ俺はそんなのにあったことないがな!
「.....行くか。」
自分の容姿をどうこうするつもりもないためいつも通りと判断し部屋を出る。
俺は朝食は気分によって食べたり食べなかったりする。漫画の世界なら不摂生な主人公に口煩い友人が世話を焼いてくれてだんだんと距離が近づき付き合うとかあるだろうが、生憎自分にはそこまで仲のいい友人はいないためそういうシチュエーションにはならないだろう。
.....別に寂しくなんてないからね!
自分で言ってって少し悲しくなった。こんなこと考えるのもうやめよう。
教室に行く途中見慣れた後ろ姿を発見。
あの短髪茶色のツーブロックは....
「おはよう済賀君!こんな時間に珍しいね。」
済賀 仁哉
着崩した制服は風紀に見つかれば指導行きで連行される程改造されており、耳には見てるこっちが痛くなるほど多いピアス。何より榛色の鋭い目付きが彼を恐ろしく感じさせる。
彼を見れば誰もが不良だと思うだろう。
「....あぁお前か。おはよーさん。.....今日は早く目が覚めたんだよ。俺でもこの時間に登校する日が来るとは思わなかった。部屋でだらけるのも嫌だったしなぁ」
「あーそういう日あるよねぇ。俺は経験したことないけど。」
「なんだよそれ。なら共感したような顔すんじゃねぇよ」
「わっ」
済賀君に軽くこずかれ少しよろめく。彼はこんな見た目をしているが案外取っ付きやすい性格をしている。
「そういえば聞いた?今日転校生が来るらしいけど。」
「転校生?......知らねぇな。っていうか興味ねぇ。」
「あららそうなんだ。っていうことでバイバーイ。」
「は!?なにが『っていうこと』なんだ!?」
俺は駆け足で済賀君から離れ校舎へと入っていく。後ろからなんか聞こえたけど無視無視。
済賀君は興味ないとか言ってたけど、俺は興味ある。だってこの学校に転校生が来るなんて滅多にないし、この時期に来るなんてきっとワケありだ。
俺は面倒事に巻き込まれるのはいやだけど、傍観するのは大好きなんだぁ。
きっと転校生の傍は面白くなる。そんな予感がするんだよねぇ。
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