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「ホントにそうなのかなぁ。正治はそんなことお構いなしだった。彰だってそうなんじゃないの?」
亜美の疑問に、彰は嬉しそうに答えた。
「今日は俺、ちょっぴり期待してるんだぜ。お前たち二人で、そうじゃないことを俺に教えてくれよ」
「そんなこと、できないよ」
彰の期待に慎也がすかさず否定した。
亜美は咄嗟に、慎也の手を取って、じっと顔を見つめ始める。
慎也が息苦しくなって下を向くと、もっと顔を寄せて、おでこを当てた。
「大丈夫。私も期待してる」
亜美が話すと吐息が慎也の鼻孔をくすぐり、甘酸っぱい気持ちに成る。
慎也は観念した。
「やれるだけ、やってみる」
信長は何も言わないけど、慎也はトライすると約束してしまった。
相変わらず亜美には引きずられてしまう。
渋川が割って入ってきた。
「亜美、彰だけじゃなくて、俺も同じように悩んでいる。俺の中にその道を追求する資格があるか、今日のステージで確かめるつもりだ。もし確信が持てたら、俺と一緒にバンド活動を続けてくれ」
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