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怨霊に憑りつかれた
深夜の東京は眠らない。
街の灯りはいつまでも煌々と輝き、夜専門で働く人の数も多い。
家の中でも、SNSやオンラインゲームに興じる人たちが、思い思いのキャラクターに我が身を移し替え、仮想現実を楽しんでいる。
佐伯慎哉もそうした眠らぬ人々の一人だ。
慎哉は東京荻窪の八畳ワンルームのマンションで、一人暮らしをしている。
今年めでたく東京の私立大学に合格し、名古屋から上京したばかりだ。
慎哉が入学したのは、日本屈指の名門校東京明峰大学、学部は一応法律家志望で法学部だ。
名古屋の小規模ゼネコンの社長している慎哉の父は、難関大学突破を大いに喜んで、わざわざ単身者用マンションを購入して、慎哉の住居として与えてくれた。
本代に困らぬようにと、十分な仕送りに加えて、アメックスのファミリーカードまで渡され、初めての東京ライフは何の不安もなく始まった。
ところが新生活を始めて三カ月目、今の慎哉は半ニートと化していた。
ここまで応援してくれた両親にさすがに申し訳ないと思い、大学の授業だけはサボらず受けているが、それ以外は部屋から一歩も出ずに引き籠っている。
食事も母親が月に二回送って来る支援物資を主食とし、大学からの帰り道に近所のコンビニで飲み物やスィーツ類を調達することで間に合わした。
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