怨霊に憑りつかれた

3/10
前へ
/148ページ
次へ
 さあ、今日は寝るかと思いながら、信長の最期を見届ける。  余韻に浸りながらエンドロール画面を待っていると、いきなりモニターがブルースクリーンに変わり、OSがクラッシュした。  やれやれ、少しパラメーターをいじりすぎたかと反省して、寝るためにパソコンを強制終了させる。データファイルはともかく、メモリーエディタで直接パラメーターを書き換えると、こうした事故がしばしば発生する。  特に気にすることもなく慎哉はベッドに潜り込んだ。  明日は一限に語学があるから早く寝なくては。  今回の設定は非常にいい感じで決まったため、ついついのめり込んでここ数日睡眠不足になっていた。  おかげでベッドに入って数分で眠りにつけた。  夢を見ることもなく熟睡していた慎哉は、顔の前に誰かがいるような気配がして目が覚める。  徐々にクリアになる視界の中で、ゲームの中の信長と同じ顔が、自分を覗き込んでいることに気づいた。 「ヒィー」  誰もいないはずの部屋の中に、見知らぬ男の存在を認識し、パニックのあまり悲鳴を上げてしまった。 (黙れ)  鋭い声で叱責されて、思わず次の言葉を飲み込んだ。  男は黙って部屋の中を見回し、それから慎哉の顔を凝視する。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加