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(今、説明してやるから少し黙れ)
再び声が届いた。
慎哉は何が起こったのか教えてもらえるならと、必死で動揺を治めた。
(うむ、上出来だ。やればできるではないか。意外と拾い物だったかもしれぬな)
相変わらず何が何だか分からないが、どうやら褒めてもらえたようだ――慎哉は動揺を抑えたまま、静かに信長の説明を待った。
(わしは織田信長の怨霊だと言ったな)
(はい)
(怨霊とは、生前酷い仕打ちを受け深い恨みを持った人間の魂が、恨みやうっぷんを晴らすために、死霊となって現世に現れるものだ)
(ヒエー、人間に災いを成すのですか?)
(そういう怨霊もいるが、わしはそんなつまらぬことはどうでもいい。それよりも人のことが知りたい。わしは良くしてやった家臣や義理の弟から裏切られ続けてきた。最後には信じていた光秀にまで裏切られて命を落とした。なぜ光秀が裏切ったかなどどうでもいいが、なぜ人は裏切るのか、人の本質を見極めたいと思っておる)
意外だった。まるで人間を深く描く大作家や、哲学者のような悩みだ。怨霊に成ってまで探求しようとする執念には少しだけ退くが、とりあえず危害を加えようと思っているのではないと分かり、安心した。
(ところで、今の状態は何なんですか?)
慎哉は現在心に抱いている最大の疑問を訊いてみた。
(単に憑依しただけだ)
(憑依?)
(なんだ覚えておらぬのか? ほらお主もやったことがあるだろう。『怨霊の館』というゲームを。全てがそのゲームに定められたレギュレーションに沿って生じている能力だ)
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