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深い深い繭の中にいたのです。
夢見心地でうとうとと、ずっとそこにいたのです。
どんな痛みからも、哀しみからも守られて。
みんなが言う『可哀想』という、同情の言葉や好意を受けながら、私は優しい繭のベッドにいつも寝そべっていました。
反対に、傷つけられ続けている誰かのことを考えもせずに。
虐げられてる誰かに、その誰かにこそ、守られているとも知らず。
苦しみ、もがき、のたうち回りながら、血を流しながら、それでも彼は、私にそんな素振りも見せず。
いつも笑って、悪戯な目で、私を優しく包んでくれました。
優しい繭。
ありがとう優也。
あなたのお陰で繭の中、幸せでした。
もう、この繭を壊して出て行く時間。
ありがとう。
ありがとう。
あなたの優しさは、一生のあたしの宝物。
忘れないよ。
あなたの全てを。
ありがとう、優也。
そうして……さようなら。
あたしを守ってくれた、優しい繭。
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