【11】賭け――現在

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深い深い繭の中にいたのです。 夢見心地でうとうとと、ずっとそこにいたのです。 どんな痛みからも、哀しみからも守られて。 みんなが言う『可哀想』という、同情の言葉や好意を受けながら、私は優しい繭のベッドにいつも寝そべっていました。 反対に、傷つけられ続けている誰かのことを考えもせずに。 虐げられてる誰かに、その誰かにこそ、守られているとも知らず。 苦しみ、もがき、のたうち回りながら、血を流しながら、それでも彼は、私にそんな素振りも見せず。 いつも笑って、悪戯な目で、私を優しく包んでくれました。 優しい繭。 ありがとう優也。 あなたのお陰で繭の中、幸せでした。 もう、この繭を壊して出て行く時間。 ありがとう。 ありがとう。 あなたの優しさは、一生のあたしの宝物。 忘れないよ。 あなたの全てを。 ありがとう、優也。 そうして……さようなら。 あたしを守ってくれた、優しい繭。
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