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<関羽の顔>
関羽が悪徳役人を斬ってお尋ね者になったという伝承は、関羽の故郷である現在の山西省で語り継がれている。関羽が赤ら顔である理由と美しい髭をたくわえている経緯も、その伝承内で説明されている。
* * *
役所の兵に追われていた関羽は、川で洗濯していた婆さんに助けを求めた。
婆さんは関羽の鼻をぶん殴り、大量の鼻血が噴き出した。驚いた関羽が手でこすると、顔中が棗のように真っ赤になってしまった。さらに、婆さんは関羽の頭髪をずぼりと引っこ抜き、唾で関羽の口のまわりにその頭髪を貼りつけて長い髭にした。
関羽が何が何だかワケワカメと戸惑っているところに、役所の兵たちが追いついて来た。しかし、兵たちは変わり果てた彼の顔を見てもあの関羽だとは気づかず、そのままスルーして走り去って行ったのである。
「神様が助けてくださったのだ!」
関羽がそう気づいた時には、婆さんの姿は消えていたのだった……。
* * *
小説を執筆する際、この伝承をそのまま描いたらただのコントになってしまうと作者は思った。そのため、「血の涙が関羽の顔を染め、棗のような赤ら顔になった」という設定にした。
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